歩く地蔵の軟派譚

30過ぎた打診ができない男の手記です。有益ではない。

回顧録5 5月総括

7出撃 10声 オープン3 Lゲ3 0即

 

2日で5声ずつかけることができた。

岩クマー氏と合流し、指名してもらってた。

指名してもらえると声を掛けに行きやすい。

自分では声掛け前にあれこれ考えたり様子を見すぎたりしてチャンスを逃すことがままよくある。

 

指名はいい。背中を押してもらうような感覚があるし、もし失敗しても「あの人が選んだ案件なんだから、ダメでもしょうがない」と精神的な負担が少なく済む感じがするからだ。声掛け前の見極めステップを省略できるし。なにより勢いがつく。

 

しかし大変なのはここから。声を掛ける直前、用意していたトークの流れや声掛けのフレーズが一瞬で飛ぶ。初めから準備なんてしていなかったかのようになる。

 

しかし戻るわけにもいかず、結果消え入りそうな声で変質者のようなムーブをかますことになる。当然反応などもらえるはずがない。

女性を前にした時の自分の情けなさ、そして指名元に戻った時の情けなさで疲れる。

 

必死に自分の数少ない成功体験を思い返す。でも完璧に条件が一致していないと自信もっていけない。

 

本当に自分は心が弱いなぁと思う。

 

他のクラスタさんが声掛け行ったり何ならそのまま即まで事を運ぶと、なぜだかこういう時は胸が熱くなって自分も頑張るってなるのだけど、結果声をかけることができず以下ループ。

 

あるとき「仙台の女性が怖いのではないか?」

という仮説を立てた。もっとローカルにいけば、リラックスして声掛けできるのではないか。

 

そこで石巻に目をつける。

駅前に降り立つ。さすがローカル、電車の本数が少ないので集中する時間帯が飛び飛びになっていて作戦を細かく修正できそうだ。

 

3時間程やってみる。

 

 

うん、場所云々ではないようだ。笑

 

人がまばらな分、逆に周りの視線が気になる。見通しがいいので近くの案件に視認されやすく、確実にオープンできそうな案件にいけないと待たなくてはいけない気がした。

何より暇な時間、目立ちすぎる。

 

・電車待ちでモチベ下がる

・タクシーの運転手が気になりすぎる(ずっといるから)

・案件のほうも「ナンパされてるの見られたくない」って気持ちありそう

・連れ出し先が探せない

 

いろいろ考えた結果、自分の足が駐車場に向かった。

むしろローカルってメンタル必要やんと痛感した。

 

 

数字に対するコメントは特になし。

来月はこの百倍くらいこなそうね。

回顧録4 4月総括

4月と言いながらこの記事を執筆しているのは10月。汗

残っているデータをもとに、そして記憶のある限り書いていく。

 

出撃3

声掛け5

LINE1。

 

数が全くこなせなかった。

・女性が怖い

トークが思いつかない

・連れ出し先が分からない

 

準備不足が多々。

自分はどうしても「いけない理由」を探して足を止めてしまう。

勢いで声掛けしてる人ほんとすごい。

動的オープナー?も使えるようにならないと。

 

試行数が少ないから反省点も出てこない。

もっと気持ち強く持たなきゃ…!

 

 

そして初即へ

12地蔵3声2オープン1即

 

まずは褒めてください。ナンパを始めて、初の即を決めました。

 

 

19:30

東口の駐車場に車を停める。

今日は宿をとっていないので西口に駐車しようとしたが全滅。道路も混んでいて車が進まない。いつになく苛立った。頼むからモチベと時間を奪わないでくれ。

 

先週のからスクリプトを一新した。参考にしたのは中年フ〇〇〇ーさんのnote。とにかく情報量が多くて立ち回りに落とし込むのが難しい。実践できる自信はなかった。

 

東口~西口デッキを歩く。人がたくさんいる。地蔵する。

アーケードに移動する。ひとしきり歩いたころにカノープスさん、モグロさんと合流する。

カノープスさんと合流するときの感じが好きだ。後ろから音もなく近寄り、声をかけてくる。だいたい自分はその前に見つけてるので、平然と挨拶をする。

その感じが街に溶け込みながら合流しているようでたまらなく好き。

そしてさらに横に目をやると、モグロさんもそばにいた。この感じもめちゃめちゃ好き笑

音もなく合流し、案件を見つけたら音もなくテイクオフ。これが中二病心をくすぐられる。

 

小一時間ほど一緒にコンビ声掛けしたり指名したりした。

自分が出会った牛タンクラスタ全員にいえる事だけど、みんな優しくて励ましてくれたり一緒にあれこれ考えてくれるのが本当にありがたい。そして、それでも地蔵してしまう自分が本当に恥ずかしい。

カノープスさんは案件見つけて秒で向かっていけるのがうらやましいし、モグロさんはコンビで自分が全然喋れなくてもガンガン話できるのがうらやましい。

 

合流したりソロになったりを繰り返して歩き回る。

今日の自分は

・髪セットがうまくいってない

・オープン率が高い

・序盤はゆっくり話せるが中盤以降は早口になってる

・塩対応されたときに特に早口になる

・地蔵した時間でスクリプト飛んだ

・お金があんまり入っていない

そんなことを考えながら歩いていた。

 

終電の時間に近くなったころ、モグロさんと二人で歩いていた。案件を見つける。数は2、それぞれ逆方向に歩いている。

た「俺あっちいきます」

モ「では私はあちらを」

こんな感じでばらける。これはお互い失敗。自分に関しては追いかけるも自信がなくて距離を詰められず、ほかの誰か知らんナンパ師に案件を取られた。

お互い戻ってきた時にこれを報告するときがまじでみじめである。失敗と言ったけどそれ以下だし。

 

ラス前あたりで折り返して、また歩く。

左側の路地からアーケードに入ってきたソロ子が目に留まる。様子を見ていると、近くを歩いていた男の子がいきなり声をかけた。

ソロ子はめちゃめちゃびっくりしていて、そこから明らかに距離をとって歩きだしたのが分かった。

 

た「ちょっと今の声掛けどうだったか聞いてきます」

モ「お、おぉw了解です」

 

ちょっと追い越し、声をかける。

反応もらえず、少しだけ声を張ってもう一度。

 

「ちょっとお聞きしたいんですけど、今のナンパでしたよね?何が悪かったですか?」

『え?あぁ、なんかいきなりすごい勢いで声掛けられて怖くて』

「なんていわれたんですか?」

『飲み行きませんか、って』

「いきなりそれ??それは変質者ですね、怖かったですね」

ノウハウってまじで大事だと思った。

 

オープンしたし噛みそうだったので自己開示は飛ばした。

「帰宅するところですか?」

『はい、電車で帰るんです』

「時間的にそうですよね。そんな中ほんとに申し訳ないんですが…今日まで使えるクーポン持ってて。…今から何言いだすか分かります?」

『??』

「一緒に飲み行ってください」

『えwでも時間ないので、すみません』

いつもはここで心が折れるけど、塩じゃないのでもうちょっと粘ってみる。

 

「おうちが遠すぎる所じゃなければ全然問題ないです、俺車なんで送れますし」

『それ私だけ飲むってことですかw』

「運転しないとなんで。朝に送る感じでもいいですけど」

『えー、うーん』

このあたりから初めて香る即の匂いがしたので、ちょっとアスペのギヤを上げてみる。

 

「もちろん嫌がること言うつもりないです、日付変わる前に店入らないといけないんでダメなら他の人探さないとですし、てかこんなペースで歩いて電車間に合いますか!?w」

『ギリギリだけど間に合いますw』

「分かりました、ちゃんと送るので付き合ってください。そんな遠くないとこですよね住んでるの?」

『2駅くらいです』

「オッケーです全然電車になります」

『でも私だけ飲むのはちょっと』

「んじゃ俺んちで飲みましょう、シャンパン冷えてますよ」

『家どこなんですか?』

「○○です」

『そうですか、どうしようかな』

ここで反応薄くて気づかなかったけど、のちにクソ近所だったことがわかる

 

「全然寝てっていいんで。あ、でも朝は起こしてほしいです」

『うちの親厳しくて』

「一緒に頭下げに行きます、一回怒られていいなと思った人と飲めるなら全然いいです」

『それはやめてくださいw』

そうこう言ってるうちに家パレ搬する流れになってた。

 

で、コンビニよって酒買う→パレ搬→即。厳密には翌日即

 

当日はリーセグダ9割くらい流した状態で眠→朝即。無臭だった。

即+車で20分離れた家へ車でパレ搬同時に経験できたのはでかい。

会話ガバガバだし完全にアスペのごり押し+運で手に入れた即だった。

悪い人には見えないように努めた。

ノウハウガン無視のキッズたちに謝りたい。そして同時に感謝を。

 

 

 

食いつき要因

・家が近かった(運)←パレ搬決定打?

・並行トーク時いい人そうだと思った

・コンビニの会計時、愛想よかったのが好印象

・部屋綺麗

・女子力たかい

 

経費

・駐車場 400円

・自分の食費 500円

・酒つまみ他 4000円

計4900円

 

今回は運要素が強いと感じたため、次からは

・忘れないトークスクリプト

・動的オープナーも意識、少し大げさに

・即までの導線をパターン化する

・車搬送のもっともらしい理由づけ

・パレ搬即の場合、翌日早めに送る

この辺も考えていく。あとはやっぱり声掛け数が大事すぎる。

 

 

まずはやっとつかめた即を喜びたい。

 

 

ブログはじめます。ポトレのお話②

 

紅葉子と無事合流。

タバコくさくないかなと心配だった。

 

「シャツのシミ大丈夫?これさっき買ってきたわ。コンビニでも売ってんのね」

『え??じゃーん!私も買ってきました(笑)てかめっちゃ優しい~』

 

擬音やめろ。かわいいから。お互いに買ったシミ取りを見て笑いあう。

サプライズは無事失敗。圧倒的非モテコミット。

 

期待以上に汚れが取れてくれてすげーってなってた。

出番のなかった自分のシミ取りは車のダッシュボードに放った。

 

 

撮影場所に向かう。

とにかく緊張してたのを覚えている。というかそれしか覚えてない。

完全にカメラの性能と紅葉子の明るさに助けられた撮影だった。

自分で納得いくショットがなかったのが申し訳なかった。

 

場所を移す。西日がいい感じになってきたのでギヤを上げる。黄昏時は被写体を映やすけど、本当にあっという間。

イメージしたのが全然撮れない。やったわこれ。。。

撮影中、余裕はないけどできるだけしゃべるようにしてる。不意にいい表情をくれる時があって、これが自分にとっての脳汁ポイント。ロケーションも悪くない。ここで挽回できる一枚を狙う。

「ほんとに被写体初心者?カメラ慣れてんね」

『友達同士で撮るし、たまにサロモもやるので』

「あ~それかも。全然表情固くないもんね」

「てか毎日全力で生きててたまに心配なるよ。体悪くすんなよー。」

『もう悪くしちゃったんです(笑)』

「え?具合悪いん?」

『うまく説明できないんですけど、8月にガンみたいなのが見つかって。治らないみたいです』

 

心臓が一瞬止まったのが分かった。

何をしゃべっても地雷を踏む気しかしなかった。

 

え、こんな元気に笑ってるのに…

 

とにかく取り繕わないと。余裕ある態度見せなきゃ。

どんなフォロー入れたか忘れたけど、

「俺んちもガン系統でさ」

って言ったのは覚えてる。こんなことしか言えないのかよと思ってた。

薄っぺらい自分が、本当に情けなかった。

 

 

彼女のバイトの時間が迫る。

「お疲れ。どうもありがとう。メシ食わん?」

『ありがとうございました。めっちゃあっという間でした!ごはん行きましょう!』

「嫌いなものは?」

『基本ないですね~、なんでも好きですよ!』

「んじゃ今から3番目に見つけたごはん屋さんはいろ」

『新しいですね(笑)』

「こういうの疎くてさ。おれ貧乏舌だから、食いもん全部美味く感じるの」

『私も同じです(笑)』

たぶん嘘だろうな。君めっちゃ料理好きやん。

 

微妙な時間過ぎてごはん屋さんが全然やってない。

結局定禅寺通り一周してしまった。

10軒目くらいのお店に入る。

 

対面式のカウンターキッチン。目をキラキラさせて料理を待つ紅葉子がめっちゃ可愛かった。

 

 

バイト先まで送る途中、打診をしてみた。

「俺もこの後用事あるし、また合流しよ」

 

さて何のグダが来るかな。

 

『え、遅いのでいいですよー』

 

あれ、弱いな??

 

「0時過ぎでしょ?俺も大体その時間なるし」

 

『えーじゃあ、お願いしてもいいですか?』

 

 

あれ、通ったな???

 

「んじゃ終わったら連絡ちょうだいよ」

送り出すように腰をポンと押す。

今思うと、ハンドテストも何もしてないのにこれはセクハラではないだろうか…。

やばい、切られたらどうしよう…

 

だいぶ時間があるのでスト開始。

今日はわりとかわいい子歩いてる。

幸せな気持ちになり地蔵した。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

0時半頃、震える報せ。

『バイト終わったんですけど、ちょっとドンキ寄っていいですか?』

「全然よいよ、近くまで移動しとく!」

 

いつ買い物が終わるかわからないので路駐は怖い。

近くのパーキングに車を停め、何となく近くをうろうろする。

 

前方から3つの人影。紅葉子とバイト先の男の子×2だった。

驚いた様子の紅葉子。なんか声かけようとしてたっぽいけどすぐ俺は顔をそらした。

邪魔をするのは野暮だから、それもそうだけど、男の子たちに話しかけられたらクソ雑魚ムーブしそうで怖かった。

 

俺は本当に気が弱い。

 

それから10ほどして再度震える。

『終わりましたー!!』

 

乱が終わったんですかね、そんなことを考えながらドンキへ向かった。

 

30mくらい前方にナンパされている紅葉子を見つける。

丁寧に断っていたのが愛おしかった。

 

何も見てない体で合流する。

 

「おつかれー」

『おつかれさまです、遅くなってすみません』

 

少しの疲れもなさそうな紅葉子を車に乗せる。

送迎中の30分間、いろんな話をした。

 

バイトが明日で終わりなこと。

旅行よりも旅館が好きで、県内の温泉旅館を制覇したい野望があること。

 

 

途中、時間を稼ぎたくてマイナー道を走る。道詳しいことに感動していた。たまたまだけど、食いつきが上がったであろうことが一つでも起こると嬉しかった。

自分の話をするときはちゃんとこちらを向いて話してくれてるのが横目で分かって、若いのにすげーなと思った。あとキラキラしててまぶしかった。

さてここから恋愛トーク、下ネタをぶち込んで…!

 

 

―――――結論、その日は何も起こせず解散した。感謝だけされて。

 

打診できなかったのはいつも通りだとしても、なぜできなかったのか?

万万が一期待してたのではなかろうか?

 

・雑談の尺を取りすぎた

・嫌われたくなかった

・明日も早いと聞いていた

 

断られそうな話を出されると一向に打診できなくなるこの性格をどうにかしたい。

車だけでなく会話もドライブしなければならなかった。

 

言いたいことがまとまらない。

 

彼女とまた会える時は来るのだろうか。

はじめてモデハンした被写体、この機会まで一年待ってあっさり終わってしまうのか。

写真も失敗した、次は何を口実に会う理由付けをすればいい。なにも思いつかない。

 

 

なんでいつもこうなんだろ、本当に薄っぺらい。

 

回顧録7

 

しっかりしたLJK

12時。家を出て洗車を済ませ郡山へ向かった。インスタLJKとのアポ。文面でのスクリーニングはチキって行っていなかった。

14時待ち合わせ場所へ到着。

「もうつくよ」

『私着いてます』

「分かりやすいようにジョジョ立ちしててくれる?」

『できません笑』

みたいなやり取りして合流。想像していたほどではなかったが可愛かった。

きめ細かな肌。10代。まっっったくスレていなそうな、でも話の節々に感じる知性。

 

「あ、即れないかも」

そんな気持ちがよぎった。

 

いちょう並木の公園へ車を走らせる。自分からも話を振ってくる子で、男と話すことに抵抗はなかった様子。

『最近友達と議論になってるんですけど、山と林の違いって何だと思います?』

「標高じゃない?知らんけど。(山を指さして)あれを林っていう人を見たことないし、(林を指さして)あれを山と呼ぶ人を見たことない」

『確かに、その考えはなかったです』

答えられることでよかった。なんか安心した笑

いちょう並木に着いてからは部活や趣味の事、仕事論とかを話したと思う。あとはこんな人は嫌いだ30選をお互い言い合ったりしてた。

カメラ以外だったら確実にナンパなんだけど、絶対言うまいと我慢してた。若者に夢を見させるのが大人の仕事。

 

いちょうを撮るフリして彼女のことを隠し撮りしていたが結局「ちょっと写って」と言った。案外、普通にインフレームしてくれた。

 

ひとしきり撮ったあと、人混みを理由にサイレント手つなぎを試みる。

スッと躱される。心が折れた。

 

帰り道の車中、打診する勇気は自分にはなかった。

運転うまいですねと言われたのが今日イチの見せ場だった。

 

あとはラーメンを食って、自分はろくに打診もできず無害だけどつまらなくはない、そんな人認定されて解散かな~と思っていたら本当にその通りになって解散。

 

 

解散後、LINEが届く。

『今日は楽しかったです、また遊んでください』

 

 

 

ホントよくできた子だ。

ブログ始めます。ポトレのお話①

『今美容室出ました~』

『どこいますかぁ?』

 

『あっ!いたかも!』

 

 

 

いままである程度女性を撮影してきたが、

今回は特別思い入れのある彼女。

 

去年の秋、なし崩し的にカメラを買わされることになり、

思いのほか面白くて気づいたらはまっていた。

特に人物撮りに興味わいたのだけど、練習台が見つからずどうしようかなーと思っていた。

 

当時は紅葉の季節だったので、仕事を終えては松島に通う毎日。

期間中ほぼ皆勤賞で庭園のライトアップされた紅葉を撮りまくっていた。

 

そこのスタッフとして働いていた彼女。

ゆるく巻いたロングめの茶髪、黒スキニーとパーカー、法被を羽織っている。寒いのに声がよく出ている。きらきらした目が印象的だった。

5日目くらいで存在を認知してたが、声のかけ方も身についておらず(※1)

ただ脇目でちらちら助平な視線を送っていた。オナネタにはしていない。

 

さすがに紅葉も撮り飽きてラスト2日目くらいには顔写さない条件でスタッフも構図に入れてた。あの法被がかっこいいんだよなぁ。

 

順路の折り返し地点を過ぎ、彼女を見つける。我ながらなかなかキモいトーンで声かけたのを覚えている。

「アッッ↑あのすみません、カメラ練習してるものなんですけど」

『えっはい』

「後ろ姿でいいので、写ってもらえませんか」

『ほかのお客様が来るまでならいいですよ』

 

 ほかのスタッフも撮ってたのに、この子の時だけは「え、マジで?」と焦ったのを覚えている。結果、ピンボケした三分割構図の写真を量産した。

 

『いつも来てますよね?』

「え、俺そんな目立ってました?」

『熱心に写真撮ってるなぁ~と思ってました』

 

恥ずかしかった。沢山お客さんいるし認知されてないと思ったから。

同時に期待もした。ナシと言われてる気がしなかったから。

 

「LINEのID渡してもいいですか?写真ほしくなったらいつでも送れるんで」

『え?あっはい』

 

閉園のアナウンスが流れる。

 

連絡先を渡したはいいものの、写真送るのがめっちゃはずかしくなってきた。

いやそもそも連絡くるはずねーか…。

 

帰宅して写真を整理していると、スマホに震える知らせ。

『松島の紅葉子です!お写真いただきたくて連絡しました!』

 

事務的な文面で素直に喜べなかった。なんとなく写真送ったらブロックされると思った。アルバムを作成して、送ってみる。

 

『どれも素敵です!写真撮るの上手ですね~!』

 

どの客にも愛想よく接していたのはわかってた。わかってたけど嬉しかった。

最終日、えも言えぬ満足感から庭園には行かなかった。

 

それからひと月くらいは他愛もない話題でやり取りしてた。学生らしく就職の事とか、母親のプレゼントの話とか。恋愛の話はなんとなく避けてた。

 

絡みも徐々に薄くなり年末に連絡が途切れた。年始にザオラルを試みるも返答なし。

 

8月。女性のポートレート経験も積んだので今一度連絡をしてみる。

 

「100年ぶり!写真撮らせていただきたいのだけど」

『100年ぶりですね笑 まだやってたんですね!』

 

普通に返事がきた。返事がなかった理由は聞かなかった。

忙しいからと言われると思ったし、それに対しての返しが思いつかなかったから。

 

 インスタのアカウントを見せて再打診。

時間ある時協力しますね、と返事が来る。

ここで引いたら終わりと思ったのでカレンダーのスクショに空いてる日を書き込み教える。

8月は卒論があるので忙しいとの事。

9月は出張が控えていたので先延ばしになりすぎるのが怖かった。ドタキャンされそうで。

 

結局8月末に予定が決まり、9月に撮影することに。

 

 

ずーっと腑に落ちないことがあった。

自分みたいな30過ぎのおっさんに協力的なところ。

いつも忙しいのに明るいところ。

いちいち褒めるところ。

 

八方美人か偽善者か、記憶に補正がかかってるだけで実はかわいくないんじゃね?とか思ったりしてた。

でも人間は希望的観測が好きな生き物。例外なく自分も期待して過ごしてた。

 

 

当日。

2時間前に現地入りし下見。やべ、意外と撮れる場所ねぇww

撮影時間は3時間。経験上物足りない時間だけど、はじめましての人にはちょうどいいくらいのはず。逆に時間余り過ぎて終わるのも気まずいww

路地裏やら定禅寺通りやらを歩く。いちおう尺つなぎできそうなところを見つける。

 

 

集合20分前。スマホから震える知らせ。

 

『白シャツの目立つとこ汚しちゃいました~泣』

『ショックで報告しちゃいました…!』

 

ドタキャンの流れ?とも思ったけど、なんか可愛くて口角が上がった。

コンビニでシミ取りを買っておいた。

 

集合15分前。前髪メンテのため美容室に来たと連絡がくる。

 

せっまい駐車場でタバコをふかす。なるべく煙をビル風にさらして、匂いがつかないようにする。リステリンでうがいも済ませる。

あぁやばい、撮影アイディア飛んじゃったわ。

 

スマホが震える。着信。

 

『今美容室出ました!』

 『どこいますかぁ?』

「(くっ声かわいいな)待ち合わせ場所にいたよ」

『え~?あっいたかも!』

 

『お疲れ様です』

「おォ~っす↑」

 

 

顔全然覚えてなかったけど、今までで一番の被写体。

 

俺は勃起を余儀なくされた。

 

 

 

後編へ続く

 

※1…岩クマー氏によるレッスンは受けていたが、本腰入れて活動はしていなかった。

回顧録3

3声2ガンシカ1Lゲ

 

13:00

駅前in。

小一時間くらい地蔵。

気づくとドトールに逃げ込んで煙草を吸いながらtwitterを見ていた。

新しいスクリプトも考えつかず、ただただインプットしまくる。

これでは自分の実にならないのも当然である。

 

なんとか自分を奮い立たせて席を立つ。店を出ればすぐに案件がゴロゴロいるアーケード内。

縦横無尽に動く人の影。ADHD気味の自分は気が散ってしょうがなかった。

何往復も何往復もする。気づくと夕方になっていた。

 

ホワイトニングを済ませ、今日も可愛いスタッフに話しかけられなかったなと思いながら再in。

 

気を散らしながら歩く歩く。そしたら20時くらいになっていた。

 

心が折れてドトール再in。

立ってるふりをしながらふくらはぎのストレッチをした。

 

気を取り直して退店。

国分町を→アーケードを2周くらいしてまたドトールにきた。

入店すると2,3杯は必ず飲んでしまう黒糖ラテ。この甘さがよくないよとか無駄に責任転嫁しながら飲んでいた。

 

閉店時間になり煙草なくなったな、と思いコンビニに移動する。

 

ストレッチしながらなら無限に動くだろと思っていた足も、だんだんいうことを聞かなくなっていた。

 

駐車場まで歩く。

ほんとのほんとに奮い立たせて声掛け、オープンするも自分が何をしゃべっているか分からず。本来ならここでギヤを上げるべきなのだろうが、体と心が言うことを聞かなかった。

 

 

不毛な有酸素運動であった。